洗礼による再生の恵み

洗礼による再生の恵み

カテゴリー 折々の想い 公開 [2015/03/15/ 00:00]

キリストの死と復活、すなわち「過越の神秘」を記念する復活徹夜祭は、求道者にとっては洗礼の秘跡、信者にとっては洗礼の約束の更新のときとされる。洗礼はキリストの死と復活、すなわち過越の神秘にあずかること(ローマ6,3-4参照)だからである。

では、洗礼の秘跡の効果とは何だろう。『カトリック教会のカテキズム』は、「洗礼には、罪の清めと聖霊による新たな誕生という、二つの主な効果がある」(n.1262)と述べて後、次のように説明する。

1-罪のゆるしについては、「洗礼によって、すべての罪、すなわち原罪、すべての自罪、また罪のすべての罰も許される・・・」(n.1263)と述べると同時に、「「しかし、受洗者には、罪の一時的な一定の結果は残る。たとえば苦しみ、病気、死、あるいは性格の弱さやなど人生に内在するもろさ、さらには、情欲あるいは比喩的に≪罪の温床≫(fomes peccati)とも伝統的に呼ばれる罪への傾きなど。わたしたちの戦いのために残された情欲は、これに同意せず、キリストの恵みに助けられて勇敢にこれに抵抗する人を害することはできない」(n.1264)と説明している。

要するに、罪によって神から離反した人間は、すべて、キリストの贖いの実りである罪のゆるしなしには、永遠のいのちに復帰することができない。洗礼は受洗者に一切の罪とその罰のゆるしを得させるのである。

2-洗礼による再生の恵みについては、これを「新しい被造物」と呼んで次のように述べる。

「洗礼は、すべての罪を清めるだけではなく、新しい信者を“新しい被造物“(2コリント5,17)、“神の本性にあずかる者”(2ペトロ1,4)となった神の養子(ガラテヤ4,5-7参照)、キリストの肢体、そしてキリストと共同の相続人(ローマ8,17)、聖霊の神殿(1コリント6,19参照)とする。

至聖なる三位一体の神は、受洗者に、成聖の恩恵、義化の恩恵を与える。この恩恵は、

――対神徳によって、神を信じ、神に希望し、そして神を愛する能力を受洗者に与え;

――聖霊のたまものによって、聖霊の促しのもとに生きて行動する能力を受洗者に与え;

――倫理徳によって、善において成長することを受洗者にゆるし;

こうして、信者の秘跡的生活の一切の機能は、聖なる洗礼の秘跡の中にその根源がある」(n.1265)。

要するに、人間は洗礼の秘跡によって、罪のゆるしばかりでなく、神の養子として生まれ変わり、この世のいのちを超えた神のいのちにあずかり、この超自然的ないのちを生きる霊的生命機能が聖霊の恵みによって与えられるのである。この霊的生命機能は第2の本能とも呼ばれる。こうして洗礼を受けたキリスト者は、新たに大罪を犯さない限り、この世に居ながら、この世を超えた新しいいのちを生きるのである。そういう意味で、キリスト者のいのちの尊厳は「超越的尊厳」とも呼ばれる。洗礼を受けることの重要性とその偉大さ、素晴らしさを自覚しなければならない。

洗礼によって再生したキリスト者は、聖霊とその恵みに活かされた新しい被造物として「新しい生き方」に召されている。聖パウロは「わたしはキリストと共に十字架につけられています。生きているのは、もはやわたしではなく、キリストこそわたしのうちに生きておられるのです」(ガラテヤ2,19-20)という。キリストの弟子として、キリストに従って生きるのである。主キリストは言われた。「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を担って、わたしに従いなさい」(ルカ9,23)。

「自分を捨てて十字架を担う」とは、キリストがなさったように、神への愛と隣人への愛のために、自分を捨てることを意味しよう。自分を捨てることなしに、真に神を愛し隣人を愛することはできないからである。主は弟子たちに言われた。「自分のいのちを愛する者はそれを失い、この世で自分の命を憎む者は、それを保って永遠の命に至る」(ヨハネ12,25)。

こうして、洗礼によってキリストの結ばれる者は互いに愛し合って一つになり、「新しい人類」、すなわち「キリストのからだである教会」を形成する。最後の晩餐の後、主は言われたのである。「わたしは新しい掟をあなた方に与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うなら、それによって人はみな、あなた方がわたしの弟子であることを、認めるようになる」(ヨハネ13,34-35)。

四旬節の修業を通して新しくされた教会は、過越の神秘を祝い、この恵みにあずかって新しい人類となり、分裂と争いに明け暮れる世界に、目指すべき新しい人類の姿を見せなければならない。



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