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あるシングルマザーのうぬぼれ

by P.Itonaga posted at 2007-02-20 00:00 last modified 2007-02-20 00:26
聖家族

  先日、テレビのチャンネルを変えていたら、精子バンクを利用して子供を産んだアメリカの、あるシングルマザー(未婚の母)のインタビュー番組が目に入った。まず驚いたのは、精子バンクという商売が繁盛していること。さらに驚いたことに、そのシングルマザーは言ったのである。「精子バンクを使えば後腐れがない。自分独りで自由に子育てができる」と。後腐れとは何たる暴言、独りで育てるとは何たるうぬぼれ。一言、世に警告を発せざるを得ない気分になった次第。

 なお、ここに参照したのは、教皇庁教理省『生命のはじまりに関する教書』(カトリック中央協議会・1996年・第三版)である。

1-科学技術は人間のためである

 科学技術の高度の発達は、いまや人間の生命のはじまりに絶大な力を発揮するまでになり、クローン人間すら造りかねない状況にある。だから、正しく厳しい倫理規制が加えられなければ、とんだ不幸を個人と社会にもたらしかねない。科学技術はあくまで人間への奉仕のためであって、人間を支配するものであってならないということを、あらためて確認する必要がある。

 2-子供を産むことは子供自身のためでなければならない

 生殖医療技術を使って子どもを儲ける親は、ほとんどすべて自分の不純な欲望を満たすためであるといってよい。バンクから精子を買うのもペットを買うのと違いはない。しかし、これは「人間をそれ自体のために望んでいる」(現代世界憲章24)神の意思に反することである。従って、人間創造における神の協力者である親も、子ども自身のために子どもを望むべきである。子どもを欲しいと願うのは不当ではない。しかし、欲しいからと言って、「誰にも子供を産む権利はない」(教書)。人のいのちは神の賜物だからである。ただし、妊娠した女性には生む権利ばかりでなく産む義務がある。中絶は重大な罪悪だからである。

 従って、子どもを儲けるに当たっての第一の要件は子どもの人格の尊厳とその権利・義務の尊重である。精子を買って子どもを造る者はお金を出してペットを手に入れるのと等しく、子どもの人格の尊厳を侵してペット並みに扱う者であって、許されてはならないことである。

 3-子どもには夫婦の愛の実りとして生まれる権利がある

 結婚の目的は夫婦の一致と生殖の二つである。だから、子どもを産むための第二の要件は、結婚によって結ばれた夫婦の愛と忠実のしるしかつ実りとして、夫婦行為を通して子どもが生まれてくることである。一方、「子供は、結婚している両親によって受胎され、この世に生まれ、育てられる権利を有する」(教書)。

  男性と女性は互いに補完的(使徒的勧告『家庭―愛といのちのきずな』19)である。補完的であるということは、単独では不完全であって、異性と一つになって始めて完全になるということである。だから未婚の母が父親を代行することは不可能である。未婚の母を選ぶ者は父親の愛情を知らず、両親の揃った温かい家庭の味を奪われた子どもの不幸を考えたことがあるのだろうか。「真に責任ある唯一の生殖の場は、結婚とその解消できないきずなの中にこそある」(教書)。

 4-単身女性の孤独を救う道

 「人が独りでいるのは良くない」(創世記2,18)と神は言われた。いまや単身志向の女性が世に溢れているが、単身生活の気ままさや仕事への情熱によって今の生活を決め込んだとしても、やがて年を重ねるに従って孤独を感じて子どもを欲しがる心境はよくわかる。分かるだけに、未婚の母に救いの手を差し伸べると同時に、婚期を逸した単身女性の生きる道を考えざるを得ない。

 そこで提案だが、子どもが欲しくなったらまず結婚して温かい家庭を作ることを考えて欲しい。それができなければ、自分の子どもは断念して、孤児など恵まれない子どもや、不当に中絶されようとしている胎児を産んでもらい、養子または里子として引き取り、育てること。それも望まないなら、これは最も大切なことであるが、神への愛と隣人への愛に目覚めてこれにいのちを賭けること。愛は孤独を癒し、解消する。修道女たちはキリストの愛に結ばれて喜びのうちに霊的な婚姻を生きている。単身女性も、修道女にはならなくても、現状のままで愛を生きることが可能である。

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