教皇、国連に招かれる

教皇、国連に招かれる

カテゴリー 折々の想い 公開 [2007/05/21/ 00:00]

バチカン・聖ペトロ広場

バチカン・聖ペトロ広場

カトリック新聞の報道によれば、去る4月18日、バチカンを訪問したパン・ギムン国連事務総長は、教皇ベネディクト16世をニューヨークの国連本部に招請したという。教皇もこの招待を受ける意向のようだ。うれしいニュースである。そこで、この機会に歴代教皇が国連に対してどのように対応してこられたか、その一端を覗いてみよう。

ヨハネ23世は、その不朽の回勅『地上の平和』において、国際連合に対する期待を大要次のように述べている。

国家間の相互依存が緊急不可欠な現代において、世界のすべての人の共通善を守るために、全世界に及ぶ権力や組織、手段をもって世界のどこでも活動できる公権をもつことは、創造主が定めた倫理的秩序の必然的な要請である。この公権は、あくまですべての人の合意に基づくべきもので、その使命は補完的な使命である。1945年6月26日に創設された国際連合は、人類の平和を守り、強化し、人類間に平等、相互尊重、および人間社会のあらゆる分野における種々の協力といった原則に上に立つ友好関係をはぐくみ育てることを根本目的としている。国連総会が1948年12月10日に承認した「世界人権宣言」は、完璧ではないにしても、その第一段階と考える。「それゆえに、わたしは国際連合が、その機構と活動手段とを、その広汎で崇高な使命に、ますます適合させることを切望する」。

ヨハネ23世は1963年5月、国連からの招きを受けたが、健康がすぐれず、代わってスーネンス枢機卿が派遣されて「地上の平和」と題する講演を行い、教皇の意を伝えた。

パウロ6世は1965年、国連創立20周年に際し、ウ・タント事務総長の招きにより国連総会で講演し、全世界の平和のために心からの訴えを行った。ローマ教皇のアメリカ訪問は歴史始まって以来のことであり、国連演説もまた始めてであった。パウロ6世は演説の中で、地上の権力から独立した精神的指導者として、「無私と謙遜と愛とをもって」大要次のように語った。

わたしはこの偉大な国連機構を荘厳に批准し、承認する。人々は和合と平和の最終的な希望を国連に置いている。新興国の国連加盟を進め、平等の原則をもって諸国家の提携を図り、国家間の抗争・対立を排して軍備を撤廃するよう勧告する。「もし皆さんが、ともに兄弟であることを望むならば、武器をその手から捨て去らなければならない。好戦的武器を片手に持ちながら、人を愛することはできないからである。・・・皆さんが建設しつつあるこの建造物は、物的、地上的土台の上にではなく、精神的な土台、すなわち我々の良心の上に建てられなければならない」。

ヨハネ・パウロ2世は、1979年と1995年に国連を訪問して演説を行ったが、ここには国連主催の「世界家族年」に呼応して定められた教会の「家庭年」で述べた教皇の言葉を紹介しよう。

「教会は、国連が1994年を国際家族年と定めたことを、喜びをもって歓迎します。この決定は、家庭の問題が国連加盟諸国において基本的なものであることを明らかにしています。教会がこれに積極的に参加するのは、教会自体がキリストによって「すべての民」(マタイ28,19)に遣わされているからです。しかも、国連の提示した国際的な課題に教会が自ら取り組むのは、今回が初めてではありません。一例として、1985年の国際青年年を思い起こせば十分でしょう。このような仕方においても教会は世界とかかわっているのです。それこそかつて教皇ヨハネ23世が強く望んでいたことであり、その望みは第2バチカン公会議の『現代世界憲章』にも影響を与えましたが、教会は今もその線に沿って歩んでいるのです」(糸永真一訳『家庭への手紙』3)。

現在、国際連合は192カ国の加盟を得て事実上全世界を結集しているが、その機構自体はいまだに改革の余地を残している。もし現教皇が招きに応じられるとすれば、国連の精神的バックとして率直に国連の理想を説かれるであろう。だから、わたしごときが口を挟むのは僭越だが、あえて申せば、国連が国際社会の公権としての地位と権限を確立するとともに、5常任理事国の「拒否権」や日本などの「敵国条項」を排除して全加盟国が完全に平等になり、相互信頼の上に立って、単に軍備を撤廃して戦争やテロを放棄するだけでなく、さらにすべての人の人権と安全を守る「人間の安全保障」を徹底して追求するなど、国連改革の実績こそ期待されている。



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