聖パウロの回心に想う

聖パウロの回心に想う

カテゴリー 折々の想い 公開 [2009/01/25/ 00:00]

聖パウロ

聖パウロ

教会は1月25日に聖パウロの回心を記念する。「パウロ年」に当たり、その回心を偲び、その意義を考えるのはあながち無意味ではないだろう。

まず、聖パウロの生誕二千年を記念する「パウロ年」について一言。もとも教会は聖人たちのこの世の誕生日を祝わない。人間は皆、原罪の穢れを背負って生まれてくるからである。聖人の記念日はこの世から天国に旅立った日、すなわち聖人の亡くなった日をDies Natalis (誕生日)として 祝う。教会がこの世の生誕を祝うのはたったの3人、人となった神の子キリストの誕生(12月25日)はもちろん、無原罪の聖母マリア(9月8日)と、母エリザベトの胎内で聖霊を受け、原罪を赦された洗礼者ヨハネ(6月24日)である。それゆえ、教会の暦に聖パウロの生誕記念日はない。聖パウロの生誕二千年を記念するのは、その生誕そのものではなく、その回心にはじまる偉大な生涯を記念し模倣すること願ってのことであろう。

さて、聖パウロの回心だが、使徒行録に従ってあらましを振り返ってみよう。彼は教会を迫害し、キリスト信者を捕縛するためにダマスコに向かっていた。「ダマスコの近くまで来たとき、突然、天からの光が輝き、彼を包んだ。彼は地に倒れた。そのとき、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか』という声を聞いた。そこで彼が、『主よ、あなたはどなたですか』と尋ねると、その声は、『わたしはおまえが迫害しているイエズスである。さあ、立って町に入れ。おまえのなすべきことが告げられるであろう』と言った」(使徒行録9,3-6)。

こうしてダマスコの入ったサウロ(後のパウロ)は、キリストの弟子アナニアから洗礼を受け、原罪とともに教会迫害者の罪をゆるされてキリストの弟子となり、異邦人の使徒に生まれ変わる。

復活して生きておられるキリストとの「出会い」と「洗礼」が聖パウロの回心の要点である。まずキリストとの出会いであるが、それはキリストのイニシャチブによる一方的な働きかけであったことに注目しなければならない。それにしても、ダマスコ途上での痛烈な一撃はさすがのサウロにも大きな衝撃を与えたに相違ない。だが、キリストにとっては予定の行動であった。パウロ自身が後で言う。「母の胎内からわたしを選び、その恩恵によってわたしを召してくださった」(ガラテア1,15)。実にパウロは無償の選びを受けたのであり、人類救済における重要な使命を負わされたのであった。主はアナニアに言われた。「さあ、行け。彼は異邦人や王たち、また、イスラエルの民にも、わが名をもたらす器として、わたしが選んだものである」(使徒行録9,15)。

衝撃的な神の介入に対してパウロは機敏に反応し、「主よ、どうすればよいのですか」(使徒行録22,10)と尋ねる。主は言われる。「起き上がってダマスコに行け。あなたが果たすように決められているすべてのことが、そこで告げられるであろう」(同上)。そしてパウロはダマスコでアナニアに会い、その使命を告げられる。「わたしたちの先祖の神は、あなたにみ旨を悟らせ、正しい方を見させ、その御口からの声を聞かせるために、あらかじめあなたをお定めになったのです。あなたは、見たことや聞いたことについて、すべての人の前で、その方のために証人となる者だからです。あなたは、なぜ、まだためらっているのですか。さあ、そのみ名をとなえて洗礼を受け、罪を洗い清めなさい」(同14-16)。こうしてパウロは神の召命を確信し、自らの自由意志をもってこれに同意し、洗礼を受けた。そして迫害者パウロはキリスト者、異邦人の使徒に生まれ変わる。パウロの回心である。

わたしは聖パウロの回心の出来事の中に、神の「恩寵」の先行性とこれに答える人間の「自由」との微妙な調和を見る。かつて主は言われた。「あなたがたがわたしを選んだのではなくて、わたしがあなたがたを選んだ」(ヨハネ15,16)。そしてこの選びは人間側の自由な応答を求める。そしてパウロは誰にも強制されず、自らの自由意志を持ってこれに答えたのである。

恩寵と自由とのこの微妙な調和はすべてのキリスト者に共通である。わたしたち各自の洗礼はその証である。従って、洗礼に至る過程は多様でも、本質的な回心の事実はすべてのキリスト者に共通する。違いがあるとすれば、それは神の選び、神の恩寵に応える持続的な熱情の問題であろう。



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