若返る観想修道院

若返る観想修道院

カテゴリー 折々の想い 公開 [2007/09/25/ 00:00]

聖ヨゼフ修道院正面

聖ヨゼフ修道院正面

鹿児島空港の近くの溝辺町有川に鹿児島県内では唯一の観想修道院がある。聖血礼拝修道女会聖ヨゼフ修道院である。この修道院に去る7月、ベトナム出身の4人の若い志願者が入会して、高齢化していた修道院が一気に若返ったのである。

先日、この4人のうち3人が院長様に付き添われて挨拶に来てくれた。応接間に通して挨拶が終わると、院長様は待ちかねたようにこの4人が信仰深く、素直で明るくて、修道院が生き返ったようだと話された。今日本語の特訓を受けている段階で十分な会話はできなかったが、院長様が自慢なさるように、実にいい雰囲気の娘さんたちで、古きよき時代の長崎の旧キリシタンの娘たちを見るようであった。ベトナムの教会も長崎の教会も、かつて同じパリ外国宣教会宣教師たちに育てられた信仰の伝統が生きているわけである。院長様の話によれば、あと3人ほどベトナムから志願者を迎える予定だという。

わたしは聖ヨゼフ修道院のシスターたちとは30数年のお付き合いだが、初めの頃、この修道院の敬虔な祈りの雰囲気に似合わず、聖歌はそんなに上手ではなかった。ある日思い切ってそのことを話したら、「どうせおんちの会ですから」という答えが返ってきて大笑したものだ。聖血礼拝会は通常「おんち(御血)の会」と呼ばれているのである。その後、シスターたちは近くの学校から音楽の先生を招いて特訓を受け、見違えるような美しい歌声を響かせるようになったのだが、みんな高齢化して歌声も往時の冴えを失いかけていたところに、孫娘のような若い志願者たちが加わり、聖歌も元気を取り戻した。

聖血礼拝修道女会は1861年9月14日、十字架称賛の祝日にカナダで創立された観想修道会である。来日は戦前の1934年6月で、初代鹿児島教区長イジド・ロア師の招きで6人のシスターが鹿児島に来て、市内高麗町に仮の修道院を開いたが、軍部の迫害によりカナダ系フランシスコ会宣教師たちが鹿児島を立ち退くと同時に、1936年、シスターたちも横浜教区に移り、幾多の変遷を経て戦後の1947年9月に、神奈川県茅ヶ崎の聖ベネディクト会修道院を買い取って腰を落ち着けた(現在は栃木県那須町に移転)。

鹿児島にあらためて修道院を開いたのは1967年10月で、里脇浅次郎初代鹿児島司教の招聘によるものである。はじめ、茅ヶ崎の修道院から分かれてきた6人の共同体が霧島温泉の丸尾に修道院を開設したが、1975年9月、周りに近づいてくる温泉地の喧騒から離れ、観想生活に相応しい閑静で小さな修道院を求めて現在地に移った。いまシスターたちは10人、高齢化している上に、ここしばらく日本人入会者が絶えて存続が心配される中、ベトナム出身の志願者を迎えてようやく将来の見通しが明るくなった。

聖血(おんち)の会は、最後の血の一滴まで流し尽くして人類を愛し、その救いの業を成就されたキリストの十字架の神秘、神の愛の神秘を一生かけて生きる。清貧、貞潔、従順の誓願のもと、キリスト教的な姉妹愛に結ばれて祈りと労働(手仕事)に献身するその生き方は、終末の神の国を先取りしたもので、その優れた証しである。シスターたちは世間から隔離された禁域の中で共同生活を営みながらも、この世から隔絶されてはいない。彼女らはその祈りと証しで世の人々と緊密に結ばれており、また、ミサのためのパン(ホスチア)を焼いたり、祭服を仕立てたり、また特に司祭、神学生のために毎日祈って、教会のためにも具体的に奉仕している。だから、観想修道院は教区にとってなくてはならない存在と考えられ、自分の教区に観想修道院を持ちたいというのが教区司教の共通の願いとなっている。ロア初代教区長や里脇初代鹿児島司教が御血の会を招聘した理由もそこにある。わたしも先任者たちの志を引き継ぎ、現役のときも引退した今も会の存続を願い、ベトナムからの志願者募集を奨励してきたが、その願いが叶ったことは神の祝福があるしるしであろう。

聖ヨゼフ修道院は観想修道院だから観光施設ではない。しかし、静かに祈り、黙想したい人々を歓迎し、受け入れる。そのために客室を設け、修道院の祈りに参加できるよう聖堂には別室を設けている。鹿児島教区としても修道院の意向に従い、しばらく自炊しながら滞在して修道院の祈りにあずかりたい人々の便宜のため、隣接地に祈りの家「マリア山荘」(電話0995-58-2994)を開設して司祭を常駐させ、同時に布教所(通称は溝辺教会)としている。鹿児島空港も近いから関心のある方はぜひ訪ねて欲しい。



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