ファティマの聖母とロザリオ

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ファティマの聖母とロザリオ

カテゴリー 折々の想い 公開 [2009/10/09/ 00:00]

ファティマの聖母

ファティマの聖母

過日、“The True Story of Fatima”(本当のファティマ物語―聖母ご出現の一部始終)という96ページの小冊子がファティマ・センターから送られてきた。ファティマにおける聖母のご出現とそのメッセージについては、若いころ読んだたしか『ファティマの牧童』という本で承知していたが、この本を読んで、今あらためてファティマのメッセージの重要性を生々しく感じた。

ファティマにおける聖母のご出現は1917年5月13日に始まり、10月13日まで毎月1回、合計6回行われた。この不思議な出来事に対する人々の反応は賛否両論、極めて大きかったが、最後の出現の日、七色に輝く太陽の乱舞という奇跡によって出現の信憑性が証しされた。そのうえ、教会の権威の公的な承認によってファティマにおける聖母のご出現とそのメッセージは、私的啓示の枠を超えて世界に大きな影響を及ぼすこととなった。次は前教皇ヨハネ・パウロ2世の言葉である。

「19世紀と20世紀にキリストの母がその姿を現し、その声を聞かせることによって、神の民にこのロザリオという観想的な祈りの形を勧めた出来事はよく知られています。わたしは、そのことのキリスト教的生活への大きな影響と、教会の権威から与えられた重大な認可のゆえに、ルルドとファティマの出現をとくに取り上げたいと思います」(使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』7)。

教皇の言葉通り、ファティマの聖母のメイン・メッセージは「罪びとの回心と世界平和のためロザリオを唱えなさい」ということであった。聖母の出現を受けたのは10歳のルチアとそのいとこの9歳のフランシスコ、そして8歳のヤシンタの3人であったが、純朴なこの少年少女たちは信心深く、毎日ロザリオを唱える習慣があった。聖母のご出現も、羊たちの面倒を見ていた遊牧地で、昼食を済まし、続いてロザリオを唱えた後のことであった。

ここで注目したいのは、まずロザリオとはどんな祈りであるかということである。ヨハネ・パウロ2世は言う。

「おとめマリアのロザリオは、聖霊に導かれて、第2千年期にしだいに形を整えてきました。また、おびただしい数の聖人によって愛され、教導職によって奨励されてきた祈りです。第3千年紀の曙にあたり、この単純でありながら深みのある祈りは、わたしたちに聖性の実をもたらし、ますます重要になってきています」(同上1)。教皇は更に、ロザリオの祈りは「福音全体の要約」であると言います。なぜなら、ロザリオは聖母と共に果されたキリストの救いの神秘を観想しながらその実現を願う祈りだからである。そして、レオ13世の次の言葉を引用している。「ロザリオは社会を害する悪と戦うための霊的武器である」(同上2)。

「毎日ロザリオを唱えなさい」と勧めるファティマの聖母は、その意向として「罪びとの回心」と「世界平和」を挙げておられる。まず、罪びとの回心であるが、罪とは、古い伝統的な表現によれば、「神から離れて、被造物に執着すること」と定義される(ローマ1,25参照)。従って、罪びととは、神を否認する人や、認めてもこれを恐れない人であり、神の意思を無視して自己や金や権力に執着する人々のほか、戦争やテロ、さまざまな争いや分裂を引き起こす人々のことであろう。第二次世界大戦の後、60年余りにわたって大戦争は起こっていないが、テロやテロとの戦いをはじめ、内戦や経済的な侵略・搾取など、争いや分裂は後を絶たない。それは、現在も罪や罪びとが世に満ちていることのあかしである。従って、こういう罪びとが回心して神に立ち返り、そのみ旨に従って行動するとき、世界平和はおのずから実現することになる。そういう意味で、ファティマのメッセージは今も生きている。

福音宣教のはじめ、キリストは宣言された。「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ1,15)。平和とは、最終的には「キリストの平和」であり、その平和が支配する国こそ、キリストがこの世にもたらし、終末におけるキリスト再臨の日に完成する「神の国」にほかならない。

ファティマの聖母は最後のご出現で「わたしはロザリオの聖母です」と名乗られたが、10月7日は「ロザリオの聖母」の記念日であり、10月は「ロザリオの月」とされているから、今あらためてロザリオの祈りの重要性を想起すると同時に、福音宣教の発展のためにも大いにロザリオの祈りに親しみ、これを広めたいと思う。



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