公会議の「キリスト中心性」

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公会議の「キリスト中心性」

カテゴリー 折々の想い 公開 [2012/03/25/ 00:00]

教皇ヨハネ二十三世

教皇ヨハネ二十三世

「第2バチカン公会議はキリストを中心に置きました」と教皇ベネディクト16世は講話の中で述べた(2005年11月6日のアンジェルス)。「教会の本性と使命」を問い直した公会議は「キリスト中心性」(Christocentrismus)に徹したのである。

公会議公文書には「キリスト中心性」という言葉は見当たらない。ただ、公会議文書を解説した人々は、異口同音に第2バチカン公会議は「キリスト中心的」であると述べる。その根拠は公文書を貫く姿勢もそうであるが、何よりも教皇パウロ6世の第二会期開会演説にあるという。周知の通り、第2バチカン公会議を召集したのは教皇ヨハネ23世(写真)であるが、同教皇が1963年6月3日に急逝し、同月21日に教皇に選出されたパウロ6世は、翌22日に公会議続行を告示し、同年9月29日に開会した公会議第二会期冒頭の演説で、自らの公会議指導方針を明らかにした。その中で「公会議の基本原則とその道、目的」について教皇は述べた。

「尊敬する兄弟の皆さん、わたしたちの出発点はどこにあるのでしょうか。わたしたちには神の法以外に従わなければならない道があるのでしょうか。また、わたしたちはどのような目標を置かなければならないのでしょうか。その答えはキリストであります。キリストはわたしたちの出発点であります。キリストはわたしたちの指導者であり、道であります。キリストはわたしたちの希望であり目標であります」

教皇のこの指摘のままに、第2バチカン公会議はキリスト中心主義を貫いた。たとえば、教会憲章において、教会はキリストの秘跡であり、キリストの秘義を表すしるし、そしてキリストの秘義を実現するための生きた道具であることを宣言し、公会議が目指した「教会の本性と使命」があくまでもキリストのもとにあることを明らかにした(教会憲章1参照)。そして、教会の秘義については、教会は十字架上に眠るキリストの開かれた脇腹から生まれたと述べた後、「キリストは世の光であって、われわれはかれから出、かれによって生き、かれに向かって行くのである」(同3)と述べる。

また、典礼憲章においては、教会の全活動の「源泉であり頂点である」典礼は、あらゆる時と所において、キリストの秘義(Mysterium Christi)を記念し現在化する」ものであることを明らかにする(典礼憲章2参照)と同時に、典礼歴年においては、キリストの秘義を、一年を通して順序よく記念することを中心軸として、その周りに聖母マリアと使徒たち、そして諸聖人の祝日や記念を配置するなどの典礼改革を行った。

さらに、公会議後の司教シノドス第4回総会(1977)に基づいて出された「要理教育に関する使徒的勧告」において、ヨハネ・パウロ2世は、「キリスト中心的」(christocentrica)、「キリスト中心性」(christocentrismus)という語をそのまま用いて、「シノドスの第4回総会は、たびたびすべての正しい要理教育がキリスト中心的であることを強調した」と指摘して、次のように述べた。

「要理教育のキリスト中心性は、それによって自分あるいはほかの教師の教えを伝えようとするものではなく、キリストの教え、すなわちキリストがわたしたちに知らせる真理、あるいは、もっと正確に言うなら、キリストそのものである真理を伝えるところにある」(『要理教育に関する使徒的勧告』6)。ここにいう「キリストの真理」とは、公会議が言う「キリストの秘義」に他ならない。教会は、父なる神の計画に従って人となられたキリストが語りかつ行ったすべての言葉とわざを「キリストの秘義」という一語で総括している。

以上のように、第2バチカン公会議もその後の教会も「キリスト中心性」を一貫して歩んでいる。それは、わたしたち一人ひとりのキリスト者も、その生活のすべてにおいて「キリスト中心」であなければならないことを意味する。聖パウロがいうように、キリスト信者は、信仰と洗礼とをもって「キリストに結ばれた聖なる者」(フィリッピ1,1)であり、「生きているのは、もはやわたしではなく、キリストこそわたしのうちに生きておられる」(ガラテア2,20)ことを忘れず、「すべてを頭であるキリストのもとに一つに集める」(エフェゾ1,10参照)終末の日のキリストの国の完成を待望しつつ、それぞれの召命の場において、キリストの秘義を言葉と行いをもって証しするのである。



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