第四戒2:すべての権威は神から来る

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第四戒2:すべての権威は神から来る

カテゴリー 折々の想い 公開 [2013/09/01/ 00:00]

国会議事堂

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「神の第四戒は、また、わたしたちの善のために社会における権威を神から受けたすべての人を敬うよう、わたしたちに命じている。この掟は、権威を行使する人々やその権威の恩恵にあずかる人々の義務を明らかにするものである」(『カトリック教会のカテキズム』n.2234)。

ここにいう「権威」とは、「他人に命令して服従を要求する権利」のことである。しかし、人間は本来、互いに同等の尊厳と基本的権利の所有者であって、他人に命令する権威をもっていない。だから、前回にも述べたように、あらゆる段階や規模の人間共同体の統治に必要な権威は、奉仕の使命と共に神から与えられており、したがってすべての人間が神に由来するこの権威を尊重し、権威を授かった者は神のご意思に従ってこれを行使し、権威の下にある者は権威者の正しい命令を神のご意思としてこれに従わなければならないのである。

しかし、実際にはこのような道理が理解されず、権威を振り回して自分の利益を求め、配下の人々を苦しめる事態もまれではない。かつての封建主義社会においてしばしば見られたが、今日においても、例えば全体主義国家においてはもとより、民主主義国家においても国家権力の横暴が見られるのは周知のとおりである。そこで、カテキズムは「国家権力者の義務」について次のように述べる。

「権威を行使する者は奉仕としてこれを行使しなければならない。『あなた方の中で偉くなりたい者は、みなに仕える者になりなさい』(マタイ20,26)。権威の行使は、その神的起源、その合理的本性、そしてその目指す対象によって倫理的に規制される。だれも人格の尊厳や自然法に反することを命じたり制定したりすることはできない」(n.2235)。

次に、カテキズムは、国家権力、すなわち立法、行政、司法の三権に携わる者には「基本的人権」を尊重する義務があると同時に、国家権力の目的は国民及び人類の「共通善」にあることを強調して、次のように述べる。

「政治権力は人格の基本的諸権利を尊重しなければならない。政治権力は人間としての温情をもって一人ひとりの、なかんずく家族や恵まれない人々の権利を尊重して正義を実現しなければならない。

市民に属する政治的権利は共通善の要求に基づいて行使することができるし、また行使しなければならない。市民の政治的権利は、正当な、そして釣り合いのとれた理由なしに停止されることはできない。政治的権利の行使は国家と人類共同体の共通善がその目的である」(n.2237)。

次いで、『カトリック教会のカテキズム』は、権威のもとにある者、特に国民の義務について、「人は皆、上に立つ権威に従うべきです。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたものなのです」(ローマ13,1-2)という聖パウロの言葉を想起しながら、次のように述べる。

「権威のもとにある人々は、上に立つ者を、神がその賜物の奉仕者として立てた神の代理者として見なければならない。『主のために、あなた方は、すべて人間の立てた制度に従いなさい。(…)自由な人として生活しなさい。その自由を盾にして悪を行うとなく、神の僕として生活しなさい』(1ペトロ2,13;16)。彼らの忠実な協働は、人格の尊厳や共同体の善に有害であると見られる事柄について正当な忠告を行う権利、時として義務を含む」(n.2238)。

「国民の義務は、真理と正義、連帯と自由の精神をもって、社会の善のために国家権力と共に貢献することである。祖国への愛と奉仕は感謝の義務と愛の秩序の要求である。正当な権威への服従と共通善への奉仕は、政治共同体の生活においてその役割を果たすようにとの国民への要求である」(n.2239)。

「権威への服従と共通善への責任には、良心上、納税と選挙権の行使、そして祖国防衛の義務がある」(n.2240)。

要するに、家庭をはじめ一切の人間共同体の営みに必要な「権威」の本源は神にあり、したがって、権威を行使する者にとっても、権威に服する人々にとっても、神への畏敬なしには権威の正しい運用はあり得ないということである。聖書には、「主(神)への畏れは知恵の初め」(箴言1,7;;詩111,10)とある。神への畏敬のないところでは、常に権威の乱用や権威拒否の危険が伴うことを警戒しなければならない。



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