第七戒(1)世の富は誰のものか

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第七戒(1)世の富は誰のものか

カテゴリー 折々の想い 公開 [2014/03/15/ 00:00]

大都会神の十戒の第七は“盗んではならない”と表記されるが、これは、人間の生活に必要な物質的財貨の本来の意味とあり方、すなわち経済生活の基本的倫理を教えるものである。経済成長至上主義が新自由主義の名のもとに暴走している現在、極めて重要である。

『カトリック教会のカテキズム』は第7戒の意味を総括して述べる。

「第七の掟は、隣人の財貨を不当に取り上げたり差し押さえたりすること、また、どのような形であれ、隣人の財貨に損害を与えることを禁じる。これは、この世の財産や人間の労働の成果の管理において、正義と愛を命じている。それは、共通善の観点から、財貨の普遍的使用目的と私有財産の権利を尊重するよう求めている。キリスト教生活はこの世の富を神に、そして隣人愛に方向づけるよう努める」(n.2401)。

次に、この世の富の普遍的使用目的と財産の私的所有について教える。

「世のはじめに、神は世界とその資源を人類の共同の管理に委ねた。それは、人類が労働によってこれを支配し、その成果を享受するためである(創世記1,26-29参照)。神が創造した富は人類全体に与えられたものである。しかし、この世の富は、欠乏や暴力の危険にさらされた生活の安全を守るために、人々の間に分割された。財産の私的所有は、人格の自由と尊厳のため、一人ひとりの基本的な必要と扶養する人々の必要を満たすために、正当なことである。それは人々の間の自然的な連帯性を示すためにも認められなければならない」(カテキズム2402)。

 上に出てきた創世記の言葉は次のとおりである。「次に、神は仰せになった、『われわれにかたどり、われわれに似せて人を造ろう。そして人に、海の魚、空の鳥、家畜、野のすべての獣、地を這うすべてのものを治めさせよう』。神はご自分にかたどって人を創造された。人を神にかたどって創造され、男と女とに創造された。神は彼らを祝福して仰せになった。『産めよ、増えよ、地に満ちよ、そして地を従わせよ』。また神は仰せになった。『見よ、わたしはお前たちの食べ物として、全地の種のあるすべての草と、種のある実を結ぶすべての木を与える』」(創世記1,26-29)。

 このように、世界とその資源は人類全体に対する神からの贈り物であり、したがってすべての人間が世界とその資源の所有者であり、特定の人間、すなわち、いわゆる1パーセントの富裕層のものなどではない。世の富は人類共通の遺産であり、人類は全体で分かち合わなければならないのである。

「労働によって、あるいは遺産や贈与によって他者から得られた私有財産権は、世界が人類全体に与えられたという当初の贈与を破棄するものではない。たとえ共通善が私有財産の尊重、その権利や使用を求めるとしても、富の普遍的使用目的は第一義的なものとして優先されなければならない」(カテキズム2403)。

 「“人間は財貨の使用に際して、自分が正当に所有している物件を自分のものとしてばかりでなく共同のものとしても考えなければならない。すなわち、物件は自分のためばかりでなく、他人のためにも役立つようにという意味においてである”(現代政界憲章69)。一定の財貨の所有は、所有者が神の摂理の管理者となって財貨を増やし、その成果を他者と、特に隣人と分かち合うことを意味する」(カテキズム2404)。

「物質的なものであれ非物質的なものであれ、生産のための土地や工場、才能や技術の所有者は、その生産力を多くの人々のために役立てるよう配慮しなければならない。使用財や消費財を持っている者は節度をもってこれを用い、最良のものは来客や病人、貧しい人のために取っておかなければならない」(カテキズム2405)。

ここに言われる通り、全ての企業が社会的使命を有するのであるから、新自由主義に従って企業を私物化し、自らのために利潤を追求することはできない。また近年言われるような企業は株主だけのものではないのである。

 「公権には、共通善のために所有権の正しい行使を規制する権利と義務がある」(カテキズム2406)。

 ここに言われる公権の使命についても、これを重視しなければならない。大企業の便宜を図り、その発展を期して、貧乏人にはそのおこぼれで生きよ、とは言えないのである。



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