教会の掟について

教会の掟について

カテゴリー 折々の想い 公開 [2014/11/01/ 00:00]

神の十戒についての現代教会の教えを学んだ今、いわゆる「教会の掟」についてもカテキズムの教えに言及する必要があろう。かつて六つの教会の掟が示されていたが、第2バチカン公会議後は六つの掟を五つの掟にまとめられている。

まず、教会のおきてとは何か、『カトリック教会のカテキズム』の教えを見てみよう。

「教会の掟とは、典礼生活に結ばれ、典礼生活によって養われる道徳生活のためのものであって、司牧的権威によって制定されたこれらの実定法が義務としての性格を有するのは、祈りの精神と道徳的生活において、また神と隣人に対する愛に成長することにおいて、不可欠な最低限の支えを信者に保証するためである」(カテキズムn.2041)。

要するに、ここに言われる教会の掟とは、キリスト信者として生きるための最低限の条件を示したものであって、その目的は信者を縛るためではなく、信者を守りかつ生かすためである。次は、教会の五つの掟に関する『カトリック教会のカテキズム』の教えと関連する教会法である。

第一の掟:主日と守るべき祝日にミサにあずかり、労働を休むこと。

この掟は、主の復活を記念する日、及び主キリスト、聖母マリア、そして聖人たちの神秘を祝う主たる祝祭日を聖とするよう信者に求めている。そのために、まず第一に、キリスト者共同体が集まってミサにあずかり、また、これらの日を聖化するために妨げとなる労働や業務を休まなければならない(カトリック新教会法典1246-1248条参照)」。

1246条(1) 過ぎ越しの神秘が祝われる主日は、使徒伝承に基づいて、初代教会からの全教会で守るべき祝日としてこれを順守しなければならない。かつ、主の降誕、主の公現、主の昇天及びキリストの聖体、神の母聖マリア、無原罪の聖マリア、聖母の被昇天、聖ヨセフ、使徒聖ペトロと聖パウロ及び諸聖人の祭日を守らなければならない。

(2)司教協議会は、あらかじめ使徒座の承認を得たうえで、守るべき祝日のうちいくつかを廃止、又は主日に移動させることができる(日本司教団が決めた日本における守るべき祝日は、すべての主日、主の降誕、神の母聖マリアの祭日である)。

第二の掟:少なくとも年に一度罪を告白すること

この掟は、回心の業と洗礼によるゆるしの業を継続するゆるしの秘跡を受けることによって、聖体に備えさせる(新教会法989条参照)。

第989条 すべての信者は、分別の年齢に至った後は、重大な罪をすくなくとも1年に1回忠実に告白する義務を有する。

第三の掟:少なくとも復活節の間に聖体の秘跡を受けること

この掟は、キリスト教的典礼の起源であり中心である復活祭とつながりのある季節に主の御からだと御血を受けるようっ求めている(新教会法典920条参照)。

第920条(1) 初聖体を受領したすべての信者は、少なくとも年に1回聖体を拝領する義務を有する。(2) 前項の規定は復活節に履行されなければならない。ただし、正当な理由のある場合、1年以内の他の時期にこれを履行することができる。

第四の掟:教会が決めた日に大斎と小斎を守ること

この掟は、わたしたちが典礼上の祝日を準備するための禁欲と償いの時を守り、自分の本能を規制し、心の自由を得させてくれる(新教会法だい1249-1251参照)。

第1249条 すべてのキリスト信者は、自己の様式に従って償いを果たす神法上の義務を有する。ただし、すべての人が、一定の共通した償いの順守によって互いに結ばれるように償いの日が規定されている。当該日には、キリスト信者は、特別に祈りに専念し、信心の行為及び愛徳の業を実行し、自己の業務をいっそう忠実に果たし、以下の条文の規定に従って、特に大斎と小斎を順守することによって自己を放棄しなければならない。

日本司教団は、教会法の規定に従って「償いの日」に関する施行規則を次のように定めた。

  1. a) 肉食を控える小斎及び大斎は、灰の水曜日及びわが主イエス・キリストのご受難ご死去の金曜日に順守しなければならない。
  2. b) 肉食を控える小斎を年中の毎金曜日に順守しなければならない。ただし、祭日に当たる場合はこの限りではない。しかし、キリスト信者は、自分の判断により、償いの他の形式特に愛徳の業または信心業、または制欲の実行をもってこれに替えることができる。

なお、小斎を守る義務があるのは満14歳に達した者、大斎を守るベき信者は60歳に達するまでのすべての成人信者である(新教会法だい1252条)。

第五戒:教会の維持費を負担すること

この掟は、信者にはおのおのの分に応じて教会の財政を助ける義務のあることを明らかにしている(新教会法典第222条参照)。

教会法222条(1) キリスト信者は、教会が神の礼拝、使徒職及び愛の業、並びに奉仕者の生活の正当な維持に必要なものを援助するために教会の要請に応ずる義務を有する。

(2)キリスト信者は、社会正義を促進し、主の命令を心に留め、自己の所得をもって貧しい人を援助する義務を有する。