“御言葉は人となり、われらのうちに住み給へり“

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“御言葉は人となり、われらのうちに住み給へり“

カテゴリー カトリック時評 公開 [2010/12/15/ 00:00]

物心がついた幼いころ、家族とともに朝昼晩唱えていた「お告げの祈り」の一節で、正確には、「しかして御言葉は人となり給い、われらのうちに住み給へり」である。今は公語文になっている。 さて、キリストの降誕祭を前に、今年はこの祈りの句が何となく心に浮かんだ。この句は、もともとヨハネ福音書の冒頭にある三つのみ言葉賛歌の2番目に出てくる句で、神の子の受肉を意味するから、降誕祭を迎えるに当たって最良の黙想のテーマである。

さて、「み言葉」とは原文のギリシャ語では「ロゴス」であり、訳して「言葉」である。そして、「み言葉」(神の言葉の意)とは、三位一体の神の第二のペルソナ、すなわち、御子のことであるが、御子を「言葉」呼ぶのは、「永遠の英知、神の思いそのもの、神の本質的な姿」(ヨハネ・パウロ2世使徒的勧告『紀元2000年の到来』N.3)であることを表しているからである。聖書は言う。「御子は、神の栄光の反映であり、神の本質の完全な現れです」(ヘブライ1,3)。

この神の言葉が人間となってわたしたちの中に来られた。日本語訳では「人」となっているが、原語では「肉」(caro)であり、聖書では「もろい死すべき人間」を意味する。父なる神と等しい神性をもつ「み言葉」が、罪以外ではわたしたちと同じ人間となってこの世に来られたのである(ヘブライ4,15参照)。神と人間、天と地、永遠と時間が一つに結ばれたこの決定的な歴史的瞬間について、第2バチカン公会議はその意義をまず次のように解説する。

「神の子は受肉することによって、ある意味で、自らをすべての人間と一致させた」(現代世界憲章22)。  

すべての人間、すなわち、世の始めから終わりまでのすべての人間が、一人の例外もなく、すでにキリストに結ばれたのである。キリストの降誕を記念するクリスマスは当然キリスト教のお祝いであり、教会で祝われるのが当然であるが、しかし、これは同時に全人類の祝いでもあるのだ。

ところで、神の子は一体何のために神の栄光の座を捨ててみじめな人生をわたしたちとともにされたのか。受肉の意義について聖書も教会も実に多様な表現をもって語っているが、ここでは公会議の次の一節を取り上げたい。

「実際、人間の秘義は肉となられたみ言葉の秘義においてでなければ、明らかにはならない。事実、最初の人間アダムは未来の人間すなわち主キリストの予型であった。最後のアダムであるキリストは、父とその愛の秘義を啓示することによって、人間を人間自身に完全に示し、人間の高貴な召命を明らかにする」(現代世界憲章22)。

「最初の人間アダム」とは第一の創造における人祖のことで、罪と死の遺産を引き継ぐ旧人類の頭であり、「最後のアダム」はもちろんキリストであって、そのあがないによって救われる新人類のいのちあふれる頭である。

このキリストは、神の言葉、すなわち、神の英知、神の思い、神の計画である。つまり、キリストは御父と同じく、真理そのものなのである。そのみ言葉がわたしたちと同じ人間となってこの世に降誕し、人間に分かる言葉で、また、人間の目に見える形で、神の真実と愛をわたしたちに示された。同時に、今度は人間の側に立ち、人類の新しい頭として、御父に対する人間のあり方を見える形で生きて人間の模範となり、人間の本当の召命、高貴な召命を明らかにしてくださった。だからキリストは、「わたしは道であり、真理であり、命である」(ヨハネ14,6)と言い得たのである。そして、「わたしは真理を語っているのに、どうしてわたしを信じないのか」と問いかけておられる。

キリストのご降誕は、様々な民間信仰や諸宗教の中に見られる「神を求める人間」と、地上に降りて「人間に語りかける神」とのキリストにおける出会いの神秘である。



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