人類に奉仕する教会

人類に奉仕する教会

カテゴリー カトリック時評 公開 [2012/03/01/ 00:00]

第2バチカン公会議が公布した現代世界憲章は、第4章において「現代世界における教会の使命」を総括し、現代世界との交流と援助に関する若干の一般原則を明らかにしている。これは、「現代世界にとって教会とは何か」という問いへの答えでもある。

それによれば、まず、秘義であり秘跡である教会は、来世において到達すべき救いと終末を目的としているが、「教会はすでにこの地上に存在しており、この地上の国のメンバーである人々によって構成されている」(憲章40)。したがって、「教会は見える団体であると同時に霊的共同体として、全人類とともに歩み、世と同じ地上的成り行きを経験する。教会は人類社会の魂または酵母として存在し、それをキリストにおいて刷新して神の家族に変質させる使命をもっている(同上)。

人類社会に対する教会のこの使命の第一は、「個人に対する援助」である。「現代人は自己の人格をいっそう完全に発展させ、自己の権利をより多く発見し主張することを目指している」(41)。これは、自分を実現し、人生の理想を実現しようという人間の根源的願望を示すものである。ところが、ルネッサンス以来、多くの人が神以外のところに人間の理想を追い求めてきた。しかし、神から離れては自分を見出せず、自分を完成することもありえない。神に造られ生かされている人間は、神から離れればその存在の根拠を失って自分を見失い、滅びへの道に迷いこんでしまう。神の子キリストがこの世に来られたのは人間を悪の束縛から解放し、神のいのちにあずからせ、神の子の自由を得させるためである。教会はキリストの秘跡として、「神と人との親密な交わりのしるしであり道具」(教会憲章1)なのである。

人類に対する教会の第二の使命は「社会に提供する援助」である(憲章42)。もっとも、教会の使命は政治・経済・社会には属さない。それらは政治の使命である。教会は政治の領域に介入せず、その宗教的使命を通して社会に奉仕する。

何よりも、「人類一致のしるしであり道具である」(教会憲章1)教会は、家族に始まり国家から国際社会に至る人間共同体の「魂かつ酵母」となってその刷新と発展に寄与する。つまり、「単なる人間的手段を用いる外的な支配権の行使」(憲章42)ではなく、キリストの福音に含まれる「信仰と愛」を現代社会に注入することによって、内面から人間共同体を活性化し、刷新するのである。教会はいずれの国家や民族に属することなく、国境を越えてその使命を果たす。

以上のほか、教会は地上の国の使命にも参加する。キリスト者は「天上と地上の二つの国の市民」(憲章43)だからである。そこで教会は、「キリスト者が福音の精神に導かれて地上の義務を忠実に果たすよう激励する」(同上)。教会は、必要に応じて社会的弱者の救済のため愛の事業にも乗り出す。今日では国家の使命とされる社会福祉事業も、もともと教会の伝統であった。また、教会が教会の名で参加できない「政治、経済・社会」の領域には、在俗の信徒たちが「市民の名」で自由に参加し、教会の影響力を行使して地上の社会の刷新と発展に貢献する。これは「信徒固有の使命」として公会議が強調し奨励したものである。

一方、教会は人間社会から多くの援助を受けていると憲章は言う(憲章44)。たとえば、人間の知恵である哲学は信仰の知的理解に役立ったし、自然科学の発達は迷信の闇を払うと同時に、神の存在を否定しないばかりか、かえって天地創造のわざの偉大さを証明している。また、教会は人間活動から衣食住をはじめとする地上生活の恵みを受け、多くの国で教会の存続と活動が法的保護を受けている。これは、原罪に傷ついているとはいえ、神に造られて「良し」とされた人間とその活動に対する教会の尊敬と信頼、そして感謝の表明である。

第4章は最後に、人類の歴史の終末について語る(憲章45)。地上の国は永遠ではない。地上の国の終極目的はこの世にではなく、神の国にあるからである。主キリストは、父なる神が定めた時に栄光を帯びて地上に再臨し、歴史を終結して神の国を完成すると約束された。その時、「新しい天と新しい地」(黙示録21,1)が始まる。教会はその日その時を知らないが、キリストのこの約束を固く信じ、地上の一切のものを神に秩序づけながらキリストの再臨に備える。「み国が来ますように」(主の祈り)と祈りながら



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