不可知論とキリスト教

不可知論とキリスト教

カテゴリー カトリック時評 公開 [2012/07/10/ 00:00]

前回(6月25日)述べた「無神論に対するキリスト者の挑戦」は、同時に、不可知論への挑戦でもある。なぜなら、真のキリスト者は日々神を体験し、キリストを体験して、これを宣べ伝えているからである。

第2バチカン公会議に基づいて編纂された『カトリック教会のカテキズム』は、不可知論について次のように述べる。「不可知論には様々な形がある。ある場合には、不可知論者は神を否定しない代わりに、自らを啓示することができず、誰も知ることのできない超越的な存在を認めている。他の場合には、不可知論者は神の存在について語らず、神の存在は証明できないとして、肯定も否定もしない」(n.2127)。「不可知論はまた、時として、神についてのある種の探究はするが、それは同時に、無関心主義、究極の存在の問題回避、そして、道徳意識の遅鈍を表している。不可知論はあまりにもしばしば事実上無神論に相当する」(n.2128)。
しかし、以上のような不可知論は人類の経験に反していると言わなければならない。なぜなら、人間は様々な形で神を体験してきたからである。自然の神秘の中に、良心の声や呵責の中で、そして哲学や諸宗教の教えのなかに。第2バチカン公会議は言う。「すでに古代から現代に至るまで、種々の民族のうちには,自然界の移り行きと人生の諸事件の中に現存する神秘的な力についてのある種の感知がみられ、時には最高の神、あるいは父なる神についての認識さえ見られる」(『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言』2)。

人間の神体験はキリスト教において最高潮に達する。なぜなら、天地万物を創造した「超越的な神」が、人類の歴史の中に入ってこられて、人間との「人格的な交わり」を結ばれたからである。第2バチカン公会議は述べる。

「神は、幾度となく種々の方法で、預言者たちによって語ったが、最後に、このほど、御子によってわれわれに語った(ヘブライ1,1-2参照)。実際、神は人間の間にとどまって神の秘義を人間に示すため御子、すなわち、すべての人を照らす永遠のみ言葉を遣わした(ヨハネ1,1-16参照)。人となったみ言葉であり、「人間に遣わされた人間」であるイエス・キリストは、「神の言葉を語り」(ヨハネ3,34)、父からおのれに託された救いの業を遂行する(ヨハネ5,36、17,4参照)。したがって、かれを見る者は父を見ると言われる(ヨハネ14,9参照)。そのキリストは、自分自身の全的現存と顕現とにより、言葉と業により、しるしと奇跡により、なかでもおのが死と死者の中からの栄えある復活により、最後に真理の霊の派遣によって、啓示を完全に成し遂げ、神がわれわれを罪と死の闇から救い、永遠の生命に復活させるため、われわれとともにいるということを神的なあかしをもって証明している」(啓示憲章4)。

このことを『カトリック教会のカテキズム』は次のようにまとめている。「キリスト教信仰は「書物の宗教」ではない。キリスト教は神の「言葉」の宗教であって、すなわち、書かれた、物言わぬ言葉ではなく、人となって生きている言葉の宗教である」(n.108)。ここにいう「書物」とは聖書のことであり、「人となって生きている言葉」とは、受肉した神の子、人類救済のために死んで復活したイエス・キリストのことである。キリスト信者は復活して生きているイエス・キリストを信じ、このキリストとの「人格的な交わり」を生きている。聖パウロはあえて言う。「生きているのは、もはやわたしではなく、キリストこそわたしのうちに生きておられるのです」(ガラテヤ2,20)。

このように、キリストを信じて生きている者は、キリストを通して、聖霊の交わりのうちに神を身近に感じて生きている。生ける神とともに生きているキリスト者の信仰体験こそ、まさにこの世で許される最高の、そして正真正銘の「神体験」であって、このキリスト者の神体験は、すべての不可知論はもちろん、すべての無神論への決定的な反証であり、確かな神存在のあかしである。



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