カトリック時評

カトリック時評

政治も経済もその理念が大切

公開 [2010/07/15/ 17:17]

カトリック時評2010

菅直人首相が唱えている経済の第三の道が注目されている。わたしは経済の専門家ではなく、政治・経済政策の当事者でもないが、信仰・道徳の立場から、より公平な国民の共通善を求めて新しい道を選択した民主党政権の…

中東地域のカトリック教会

公開 [2010/07/01/ 00:00]

カトリック時評2010

中東はキリスト教発祥の地であるが、パレスチナ問題やアフガニスタン・イラク戦争と絡んでユダヤ教やイスラムのことが報じられることはあるが、キリスト教はほとんど話題にならない。ところが、このほど教皇のキプロ…

“禍を転じて福となす”

公開 [2010/06/15/ 00:00]

カトリック時評2010

宮崎県の口蹄疫が、この執筆時にもまだおさまらない。何万何千という大量の牛や豚が殺処分されるなど、前代未聞である。畜産農家の苦渋を思いやりながら、知恵と勇気をもってこの危機を乗り越えるよう祈ってやまない…

権威はすべて神に由来する

公開 [2010/06/01/ 00:00]

カトリック時評2010

「徳川家康は、全国の覇者となると、やがてカトリックの信仰自体を禁止し、徹底した弾圧を始めた。無論それは「正しい信仰」の擁護のためではなかった。広言していたように「神国」(と言っても、神道と仏教との習合…

「命の私物化」という語を読んで

公開 [2010/05/20/ 00:00]

カトリック時評2010

「命ってちょっとの間与えられているというか、誰もが借りているだけ、という気がしているんですね。だから、いつか返す時が来る。ところが、ついこれは俺の命、って所有化しちゃうでしょう人間は。命を私物化すると…

マスメディアの使命を考える

公開 [2010/05/01/ 00:00]

カトリック時評2010

現代世界におけるマスメディアの重要性を熟知するカトリック教会は、第2バチカン公会議において、世界各地の教会で「広報の日」を設定するよう勧告した。1963年12月4日付の広報機関に関する教令『Inter…

「現代霊性論」をめぐって

公開 [2010/04/15/ 00:00]

カトリック時評2010

「日々の生活の中で、私たちの思考や経験は「霊」という「わけのわからないもの」に現実には支配されています。それはアカデミックな科学の中では主観的には議論されることがほとんどありませんが、現実の生活習慣や…

子育ての意義を考えるチャンス

公開 [2010/04/01/ 00:00]

カトリック時評2010

「子ども手当」や「高校授業料無償化」がいよいよ現実化しそうである。この際、この画期的な企てが何を意味するかを考える機会にしなければならないと思う。なぜなら、現代の家庭は、社会と文化の急激な変化のあおり…

キリスト教の神と神道の神々(2)

公開 [2010/03/15/ 00:00]

カトリック時評2010

前回述べたように、キリスト教の神と神道の神々とは根本的に異質の神であり、互いに交わることがない。その神と神々が出会ったとき何が起きたか、いまその歴史を振り返り、そして今後を展望してみることにしよう。 …

キリスト教の神と神道の神々(1)

公開 [2010/03/01/ 00:00]

カトリック時評2010

わが国の宣教において、日本人の神概念や宗教心を知ることは極めて重要で、ある意味で先決事項である。なぜキリスト教は日本で伸びないか、という疑問に答えるためにも避けて通れない問題である。そこで、あらためて…

「無縁社会」と家族共同体の再建

公開 [2010/02/15/ 00:00]

カトリック時評2010

去る1月31日夜のNHK/BSテレビ番組「無縁社会」は実にショッキングなドキュメンタリーであった。2008年には、無縁死して遺体の引き取り手がなく、無縁墓に納められるケースが年間三万二千件に上ったとい…

人間の召命と使命における責任について

公開 [2010/02/01/ 00:00]

カトリック時評2010

今年も成人式において若者たちの抱負が多様に語られたが、中には「責任ある社会人として生きていきたい」といった正統派の殊勝な意見もあった。しかし、若者を「助けて」と言えない孤立に追い込む「自己責任」や、政…

人間共同体の危機とその対策

公開 [2010/01/15/ 00:00]

カトリック時評2010

「結婚しなくてもいい」70パーセント、「子ども要らない」最高42パーセント、「一人暮らし」全世帯の34・4パーセント、「孤独を感じる」15歳29,8パーセント、09の年間自殺者三万人超。これらは昨年の…

環境問題の倫理性とその根拠

公開 [2010/01/01/ 00:00]

カトリック時評2010

昨年12月7日に開幕し18日に閉会した国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)には、約190カ国から政府代表団、環境NGOなど約15000人以上が参加、世界の関心がようやく高まったことを…

ダーウィンの『種の起源』から150年

公開 [2009/12/15/ 00:00]

カトリック時評2009

さる11月24日は、チャールズ・ダーウィンの『種の起源』出版150周年であった。生物の進化を主題とした最初の科学的著作である『種の起源』は1859年11月24日イギリスで刊行され、初版1250部が初日…

神の子は、なぜ人の子になったのか?

公開 [2009/12/01/ 00:00]

カトリック時評2009

クリスマスを考える季節になった。キリスト教国ではないわが国でも、クリスマスだけは国民の間にすっかり溶け込んだ年中行事になっているから、ここにあらためてクリスマスの意味とこれを祝う理由について考えてみた…

キリスト者の歴史感覚

公開 [2009/11/15/ 00:00]

カトリック時評2009

一年の周期は、一般社会では1月に始まって12月に終わるが、カトリック教会の典礼(宗教行事)においては12月に始まって翌年の11月に終わる。これを教会では「典礼歴年」と呼ぶが、その中心テーマは「キリスト…

真に幸福な人間とは誰か

公開 [2009/11/01/ 00:00]

カトリック時評2009

10月ともなれば、南国鹿児島にも秋が来て、わが家の庭の木々の落ち葉かきに忙しくなる。ひらひらと舞う落ち葉の一つにも人生の無常を感じ取る仏教徒ならずとも、やはり秋は人生の終末を想い、本当の幸せはいずこに…

経済体制と消費主義

公開 [2009/10/15/ 18:36]

カトリック時評2009

「米、過剰消費脱却を 日中には内需拡大 不均衡是正で提案へ」 これは9月23日付毎日新聞4面に載った一つの見出しであるが、「過剰消費脱却」という語に新鮮味を感じて注目した。 その後の報道によれ…

人は政治だけで生きるのではない

公開 [2009/10/01/ 00:00]

カトリック時評2009

先の衆議院総選挙に続いて9月16日、鳩山連立内閣が発足して戦後初の本格的な政権交代が実現した。わたしは国民の一人として、また日本国民の真の幸せを願う一司教として、真に国民全体、特に弱者のための政治が実…