カトリック時評

カトリック時評

キリスト教はアジアに通じないか

公開 [2008/11/15/ 00:00]

カトリック時評2008

去る10月1日の南日本新聞文化欄に「バチカンから見たアジア」と題する註バチカン大使・上野景文氏の論文が掲載された。論旨は「カトリックの教理はアジアの人々の心を打つものとなっていない。だから、バチカンは…

虚偽に満ちた人間社会

公開 [2008/10/15/ 00:00]

カトリック時評2008

最近の世相を見ると、わが国においても諸外国においても、この世は虚偽に満ちていると言わざるを得ない。大分県教委汚職、汚染米の転用、汚染ミルク(中国)、さらには年金記録改ざんなどなど、われわれはこれらのう…

シドッチ神父来日300周年

公開 [2008/10/01/ 00:00]

カトリック時評2008

今年10月10日はジョバンニ・バッチスタ・シドッチ神父の来日300周年に当たる。上陸地が鹿児島県屋久島だということもあってこの記念日はわたしの心をそそる。江戸時代の中期、わが国の鎖国政策が確立し、キリ…

政治の使命と限界

公開 [2008/08/15/ 00:00]

カトリック時評2008

北海道洞爺湖サミットが終り、福田内閣の改造も済んで、わが国の政治はいまや解散・総選挙の準備に突入した感じである。グローバル化が進み、国際的な利害が複雑に絡み合う中、政治の世界もますます困難の度を深めて…

基本的人権としての信教の自由

公開 [2008/08/01/ 00:00]

カトリック時評2008

基本的人権としての「信教の自由」は現在広く知られている。しかし、その真の意味が理解されているかどうかについては疑問が残る。信教の自由とは、自分が真理と認める宗教を誰にも妨げられず、誰にも強制されないで…

原爆から63年、核廃絶の願いは

公開 [2008/07/15/ 00:00]

カトリック時評2008

広島、長崎の原爆記念日が近づいた。すでに核兵器廃絶や平和の祈りの集いの計画や案内が届き始めた。しかし、原爆投下から63年、核兵器廃絶の願いは風化し、その叫びは空しく響いてはいないか。このあたりでもう一…

「パウロ年」の意義を問う

公開 [2008/07/01/ 00:00]

カトリック時評2008

カトリック教会は今年6月28日から来年の6月29日までを「パウロ年」として記念する。創立間もないキリストの教会発展の基礎を築いた二人の偉大な使徒の一人、聖パウロの生誕2000年を記念するもので、教皇ベ…

死刑制度の存廃をめぐって

公開 [2008/06/15/ 00:00]

カトリック時評2008

来年5月に始まる裁判員制度を前に、わが国における死刑制度の存廃が改めて問われているが、圧倒的多数の死刑存続論にかんがみ、仮釈放のない「終身刑」を創設する超党派の動きが加速しているという(朝日新聞6月5…

巨大化するマンモン(富)の脅威

公開 [2008/06/01/ 00:00]

カトリック時評2008

「人はだれも二人の主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他を愛するか、または一方に親しみ、他をうとんじるか、どちらかである。あなたがたは神とマンモンとに兼ね仕えることはできない」(マタイ6,24…

岐路に立つマスメディア

公開 [2008/05/15/ 00:00]

カトリック時評2008

「利己主義と奉仕の岐路に立つメディア、他者と分かち合う真実を求めて」。カトリック教会は毎年春に「世界広報の日」を実施しているが、これは今年度広報の日の教皇のメッセージのテーマである。 カトリッ…

アブドラ国王、一神教サミットを提唱

公開 [2008/05/01/ 00:00]

カトリック時評2008

「サウジアラビアのアブドラ国王は24日、文明間対話の促進を目的とするキリスト、ユダヤ、イスラムの3宗教によるサミット開催を提唱した」と、3月26日の朝日新聞はリヤド発ニュースを伝えた。「同日から討議が…

正念場を迎えた日本の民主主義

公開 [2008/04/15/ 00:00]

カトリック時評2008

参議院の反対により、ガソリン税の暫定税率延長が阻止された。多くの人はこのことをいたずらに混乱を招き、国政を停滞させると批判するが、教会の社会教説の観点からすれば、これは日本の民主主義が本格的に機能し始…

ヒューマン・エコロジーの問題

公開 [2008/04/01/ 00:00]

カトリック時評2008

「人はすべての家畜、空の鳥、野のすべての獣のそれぞれに名をつけたが、人にふさわしい助け手は見つからなかった」(創世記2,20)。人間のふさわしい助け手は人間しかない。しかし現在、互いが助け手となる「人…

生命の始まりについて

公開 [2008/03/15/ 00:00]

カトリック時評2008

「カトリックの影響が強いドイツでは、法律で胚の作製や研究利用を厳しく規制しているが、(中略)わが国には、こうした大原則はない。科学技術の進歩を後追いする形での法や指針があるだけだ。この機会に、宗教や哲…

地球温暖化問題をめぐって

公開 [2008/03/01/ 00:00]

カトリック時評2008

地球温暖化をめぐる環境問題が頻繁に論じられている。洞爺湖サミットが近づくにつれてこの議論はさらに高まるだろう。しかし、議論が過熱すると決まって論議が一点に集中して全体が見えなくなり、大事な点を見落とす…

国際貢献と言うけれど

公開 [2008/02/15/ 00:00]

カトリック時評2008

昨秋以来、国際貢献という言葉を何十回、何百回聞いたことだろう。アフガンにおけるテロとの戦争に自衛隊を派遣することが唯一の国際貢献でもあるかのような大合唱のもと、多くの反対を押し切って新テロ対策特別措置…

万能細胞と生命倫理

公開 [2008/02/01/ 00:00]

カトリック時評2008

再生医療のために身体的のあらゆる部分になる可能性を持つ万能細胞(幹細胞)の開発が待たれてきた。そんな中、昨年11月、京都大学の山中伸弥教授らの研究グループが、待たれながらも期待薄であった受精卵を使わな…

人類は一つの家族

公開 [2008/01/15/ 00:00]

カトリック時評2008

毎年、1月1日はカトリック教会が設定した「世界平和の日」である。教皇ベネディクト16世の2008年「世界平和の日」メッセージは、「人類という家族―平和の共同体」をテーマとして発せられたもので、平和であ…

人間の偉大さと惨めさ

公開 [2008/01/01/ 00:00]

カトリック時評2008

様々な思い出を残して2007年は過ぎ去る。思えばこの一年、これほど人間の浅はかさが浮き彫りになった年はなかったような気がする。老舗にまで及ぶ数々の食品偽装の広がり、政治や行政の怠慢や汚職に発する様々な…

クリスマスの贈り物

公開 [2007/12/15/ 00:00]

カトリック時評2007

サンタクロースやクリスマスのプレゼントは、非キリスト教国日本でも習俗としてすでに定着した感があるが、果たしてその本来の意味は生きているのだろうか。 さる11月4日、毎日新聞の「今週の本棚」にシ…